製品アーキテクチャーとは

2023年12月19日

ジェフ・ゼムスキーは Windchill デジタルスレッド担当副社長です。彼のチームは、ナビゲーション、ビジュアリゼーション、Windchill UI、デジタル製品トレーサビリティを統轄しています。PTC に入社する前は、産業、ハイテク、消費者製品の企業で PLM、CAD、CAE の導入と活用を 16 年間担当し、2002 年には Windchill PDMLink の最初の導入を主導しました。また、PTC/USER コミュニティでも積極的に活動し、Windchill Solutions 委員会の委員長や PTC/USER の理事会メンバーとして、お客様の意見をまとめ、ツールやプロセスについて人々が連携できるコミュニティの形成に貢献しました。レンセラー工科大学およびリーハイ大学で学びました。

製品アーキテクチャーとは

製品アーキテクチャーとは

現代の製造プロセスでは、製品アーキテクチャーは製品の機能要素を構造化および統合し、相互作用させる仕組みを指します。製品の「青写真」といえるかもしれません。そのため、製品アーキテクチャーは、個々の製品の設計、製造、販売、サービスにおいて重要な一面を担っています。

製品アーキテクチャーが重要な理由

製品アーキテクチャーは、主に製品バリエーションと構成変更を効果的に管理できるという理由から、あらゆる製品開発戦略に欠かせない存在です。製品の諸要素間の「機能をフォームにマッピングする」ことで、製品を可能な限り効率的に改善、再設計、カスタマイズ、パーソナライズ、複製できるようになるといわれています。製品が複雑になり、製品ラインのバリエーションが増えるほど製品のアーキテクチャーが重要になります。

たとえば、複数の製品ラインを持つある自動車メーカーでは、十数の工場、数百のモデル、数千のオプションなど、さまざまな条件が複雑に絡み合っています。適切な製品アーキテクチャー戦略を導入すれば、社内の製品、サイト、プロジェクト間の摩擦を抑え、相乗効果を生み出すことができます。さらに、アーキテクチャーに関する多くの意思決定は研究開発段階でなされるため、製品アーキテクチャーは研究開発部門と深いかかわりがあり、イノベーションにも大きな影響を与えます。

製品アーキテクチャーの種類

製品アーキテクチャーにはいくつかのアプローチがあり、対象となる製品、市場、業界の特性によって使い分けが必要です。たとえば、モジュール、インテグラル、構成、プラットフォーム、標準などがあげられます。必要に応じて、ハイブリッドアーキテクチャーを採用することもあります。ここでは、代表的な 2 つのアーキテクチャーであるモジュール型とインテグラル型を比較してみましょう。

モジュール製品アーキテクチャー

コンピューター、自動車、電子機器などの製品には、一般にモジュールアーキテクチャーが適しています。このような製品にはバリエーションやカスタマイズ要件が多く、時間の経過とともに部品をアップグレードする必要があります。複雑さは運用効率の敵といわれており、モジュールアーキテクチャーはその影響を最小限に抑えます。このアプローチでは、明確に定義された、交換可能で機能的に自己完結するコンポーネントやモジュールで製品を設計します。

インテグラル製品アーキテクチャー

2 つ目の主なアプローチはインテグラルアーキテクチャーで、製品を統合された単一のエンティティとみなします。製品のコンポーネントの傾向として相互依存度が高く、緊密に統合されます。つまり、コンポーネント同士が連動する仕組みになっています。インテグラルアプローチは優れたパフォーマンスが求められる製品に適していますが、構成の柔軟性が低く、修理やアップグレードが難しいという面もあります。航空宇宙および防衛関連製品(戦闘機、衛星、武器システムなど)や高性能スポーツ用品には、インテグラルアプローチが適しているでしょう。

製品アーキテクチャーのメリット

製造する製品に最適な製品アーキテクチャー戦略を定義し、磨きをかけることで、重要なビジネス上のメリットをいくつも獲得できます。

市場投入までの期間短縮

設計のサイクルタイムが最小限に抑えられ、不具合や不一致が減り、全体的な開発プロセスが短縮されるため、意図したとおりに機能する質の高い製品を短期間で製造できます。

製品開発の効率化

前述のように、費用対効果はアーキテクチャーによってさまざまですが、対象製品にとって最も効果的なアーキテクチャーが適切に定義されていれば、その種類の製品での効率が大幅に向上します。

ユーザーが製品をカスタマイズしやすい

カスタマイズに適したアプローチなら、機能や改良を効率的に導入できるため、修理やサービスの時間とコストを削減できます。

長寿命の持続可能な製品を製造できる

対象の製品について想定されるメンテナンスやアップグレードのシナリオに合わせてアーキテクチャーを最適化することで、稼働開始後の製品のライフサイクルを効率的かつ最大限に延長できます。

コンカレント設計に対応

適切なアーキテクチャーアプローチを採用した企業では、さまざまなチームが個別かつ同時に自信を持ってコンポーネントを開発できます。

製品の品質向上

基本的に、製品アーキテクチャーは製品品質に非常に大きな影響を与えますが、その効果は選択したアプローチによって異なります。重要なメリットとして、故障の分離と修理の精度が向上する、各種コンポーネントに独立テストプロトコルを迅速かつ頻繁に実施して集中的に品質管理できる、関連製品全体で一貫した品質を確保できるなどがあげられます。

製品アーキテクチャーの作成方法

効果的な製品アーキテクチャーを開発するには、4 つの手順を踏むことが一般的です。

製品のダイアグラムを作成

アーキテクチャーのダイアグラム(配置図)を作成することが、重要な第一歩です。この目的のために、数多くのツールやテンプレートが存在します。ダイアグラム作成ツールより重要なのが、製造する製品の特徴や機能をとらえ、明確に表現することです。

ダイアグラムの各要素をグループ化

配置図全体で、機能や要素のサブセットには共通性があります。これらのサブセットは、共通する機能面やそれぞれの相互作用のレベルに応じて、「クラスター」としてグループ化します。

要素をつなぐ幾何学的なレイアウトを作成

グループ化したダイアグラムから、幾何学的なレイアウトを生成します。これが製品のパフォーマンスと望ましい属性のマッピングのベースとなります。

要素間のさまざまな関係を特定

幾何学的なレイアウトの各要素間の関連と依存関係を示します。プロセスのフローと機能を明記します。この手順が完了したら、製品アーキテクチャー戦略が実践的な計画文書として成立しているかをすべての主な関係者に確認します。

PLM における製品アーキテクチャー

重要なのは、Windchill などの PLM と、選択した製品アーキテクチャーとの関連が成功の基本であると認識することです。PLM システム内の統合機能、ワークフロー、データ構造を、アーキテクチャーアプローチで満たそうとしている設計や管理のニーズに合わせて注意深く調整する必要があります。

また、不具合が発生し、効果的なコラボレーションが機能不全となり、製品ライフサイクルが合理化されず、システムがスローダウンする場合もあるかもしれません。問題解決が妨げられ、企業のリソースが無駄になり、管理要件が不必要に増えることもあるでしょう。このような場合、運用の真の可能性を実現できなかった機会費用により、障害や非効率性の真のコストは著しく増大します。

一方、アーキテクチャーを製品の開発と製造に効果的に組み込んだ環境では、設計者、エンジニア、開発の各チームやほかの重要分野でシームレスかつ生産的なコラボレーションが実現します。

効率向上、コスト削減、リードタイムの短縮、市場投入までの期間短縮など、ビジネス上のメリットは計り知れません。製品が多様化し、パフォーマンスの限界が常に押し上げられている中、効果的な製品アーキテクチャー戦略を通じて、さらにそれを PLM に統合してさまざまな課題に対応することで、時間、コスト、エネルギーなどの必要な投資が強力な競争優位性を生み出すに違いありません。

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製品バリエーションを戦略的な強みに変える

プラットフォーム戦略のビジョンを推進し、品質の強化、リサイクル性の向上、部品数の削減を実現している Vestas 社の事例をご確認ください。

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ジェフ・ゼムスキー(Jeff Zemsky) ジェフ・ゼムスキーは Windchill デジタルスレッド担当副社長です。彼のチームは、ナビゲーション、ビジュアリゼーション、Windchill UI、デジタル製品トレーサビリティを統轄しています。PTC に入社する前は、産業、ハイテク、消費者製品の企業で PLM、CAD、CAE の導入と活用を 16 年間担当し、2002 年には Windchill PDMLink の最初の導入を主導しました。また、PTC/USER コミュニティでも積極的に活動し、Windchill Solutions 委員会の委員長や PTC/USER の理事会メンバーとして、お客様の意見をまとめ、ツールやプロセスについて人々が連携できるコミュニティの形成に貢献しました。レンセラー工科大学およびリーハイ大学で学びました。

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