製品事業部 CAD セグメント シニアアプリケーションスペシャリスト
超音波洗浄機、液晶製造装置等の機械設計を 2D & 3D 共に経験し1997 年に入社。機械設計分野以外に樹脂・板金金型、CAM の担当エンジニア。
Creo のリレーション機能を使えば、設計意図を数式化でき、パラメトリック設計を実現できます。また、設計変更も瞬時に対応可能です。四則演算や関数、条件文で精密な制御が可能な Creo Parametric の活用法を解説します。記事の最後で Creo のお客様導入事例も紹介していますので、ご興味のある方は、ぜひ最後までご覧ください。
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Creo Parametric は 3D モデルの寸法パラメータを利用した関係式を計算させて、その結果によってサイズの寸法を変えることや繰返し形状の個数を変更することが可能です。この関係式作成は「リレーション」機能を使い、設計意図をモデルやアセンブリに定義することができます。
簡単な例でご紹介します。例えば、形状の縦横比を常に黄金比にする場合は、
となるよう、リレーションに
d2=d1*(1+sqrt(5))/2
( d〇 は寸法パラメータ、”sqrt” は平方根)を入力します。
d1 の値が変更されると、このリレーションに従って計算されて自動的に d2 の値が決まります。
非常に簡単な例を挙げましたが、多くの設計において寸法は常に定義されます。
Creo Parametric の寸法は全て「パラメータ」であり、このパラメータがあることから半自動的な設計や自動設計へつなげることが可能です。
ここで一旦、言葉の定義を確認します。
上記のうち ”パラメータ” については Oxford Languages より、”パラメトリック” については JIS より。
難解な引用をしましたが平易な表現をすると、パラメータは「変数」でありパラメトリックは「変数(寸法)を変えれば形が変わること」です。
ドラフターの時代から 2D-CAD、3D-CAD など設計ツールに関わらず類似形状の部品や製品を設計する際に、「ある個所の寸法を変更して別形状(サイズ)の物を作り出す」ことをしています。ツールの進化に連れて形状やサイズ違いの物を作り出すことが容易になりました。類似形状はサイズが変わるだけでなく、バリエーション製品のようにある一定以上のサイズになったら穴個数やピッチが変わったり(例:直動機器のガイドレールなど)、アセンブリ品であれば取りつく部品のサイズや個数や型番が変わったりします。
特に、ある一定の設計意図や決まりの下に規則的な類似形状やサイズ違いなどを設計することがあります。このような場合にパラメトリック CAD の特徴を大いに生かすことができます。
それらは単純なあるサイズ以上になったら数が増えるような場合もあれば、関数計算によって求められる場合もあり、Creo Parametric のリレーションだけでは対応できない、もしくは対応できたとしても再利用時や他の設計者が見て式の理解が困難になる場合も考えられます。これは再利用性を下げる原因です。
そこで、PTC の工学計算ソリューションの「Mathcad」は、リレーションに記述するだけでは計算の説明が不完全な場合に使うことで、とても役に立つソリューションです。
Creo Parametric は Mathcad との連携が可能です。Creo Parametric のモデル内にあるパラメータを、Mathcad と連携させて計算を行なうことができます。本記事では簡易説明に留めておきます。
さて、ここからはリレーションの利用について、寸法パラメータを関連付けて計算させるだけでなく、その値の制御を行って数値を丸める、あるいは文字列変数をリレーションで取り扱う方法をご紹介します。
X1 | 実数 | 456.000000 |
X2 | 実数 | 457.000000 |
XAF | 実数 | 0.450000 |
XAC | 実数 | 0.4650000 |
XX | 実数 | 450.000000 |
リレーションを下記に記載します。なお、左辺のパラメータ名は任意です。
注意: "CHARACTERISTIC_NO"(名前は任意)は事前に整数パラメータとして作成しておきます。
/* モデル名自動取得
model_name=rel_model_name()
/* 文字列を組み合わせます
/* [モデル名]+[ハイフン]+[部品固有の任意番号]
partname=model_name+"-"+itos(CHARACTERISTIC_NO)
計算結果例:
CHARACTERISTIC_NO=103
model_name=PART01
partname=PART01-103
「3D モデルのファイル名+管理番号」のような運用をしたい時におすすめです。
リレーションは、ここにあげた4 つ以外にも様々な関数を備えています。例えば、IF 文を使った条件文の論理分岐、寸法値などをある制限値以上や以下に制御したり、連立方程式を用いたりすることが可能です。
Creo Parametric のリレーション機能は、設計意図を明確に反映させ、寸法やパラメータを自動調整する強力なツールです。特に、パラメトリック設計を活用することで、バリエーション設計の効率化や再利用性の向上が可能になります。さらに、Mathcad との連携により、より高度な計算や設計の最適化も実現できます。
これから Creo Parametric を活用する方や、リレーション機能の具体的な適用例を知りたい方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
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