MBD(モデルベース定義 ) の導入は、メーカーの競争力を維持するために有効です。しかし、単に導入するだけでは、成功とは言えません。そこで今回は、MBD(モデルベース定義 )の導入を成功させるための方法について解説します。
記事の最後で Creo のお客様導入事例もご紹介しておりますので、ご興味のある方はぜひ最後までご覧ください。
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MBD(モデルベース定義 )の導入方法: MBD(モデルベース定義 ) 活用に向けた取り組みを成功させるには
MBD(モデルベース定義)は、コンピューター支援設計 (CAD) ソフトウェア に組み込まれたアノテーション付きの 3D モデルであり、特定の製品設計の詳細情報の定義に使用されます。MBD を活用することで、製品設計の効率性と精度が向上するため、MBD を導入する企業が増えています。しかし、MBD を効果的に活用するためには、組織としての準備や取り組みが欠かせません。
MBD(モデルベース定義) オーサリングへの切り替え
MBD の導入における最初の重要なステップは、従来の 2D 図面の作成からMBD の作成への移行です。エンジニアリングチームがこの変更をスムーズに行うためには、いくつかの工夫が求められます。
- アノテーション削減の推進
従来の2D 図面の作成では、設計者が各寸法を手動で追加する必要があり、非常に時間がかかっていました。一方で、MBD では、ジオメトリ情報がすべてMBD の作成過程に組み込まれているため、製品製造情報 (PMI) を追加するだけで製造される部品の適合性を確保できます。これにより、設計ドキュメント作成にかかる作業量を大幅に削減できます。 - セマンティック PMI の組み込み
MBD は、セマンティック PMI(生産設備など機械による読み込みが可能な 製品製造情報)を組み込めるため、後工程の CAD やその他の設計プログラムで設計情報を効率的に活用できるようになります。セマンティック PMI は、組み込まれたMBD がリリースされると、工程の自動化のために非常に幅広い方法で活用できます。設計者が最初からセマンティック PMI を追加しておくことで、後工程での手戻りや製造遅延のリスクを最小限に抑えることができます。
MBD(モデルベース定義)を製品開発プロセス全体で活用
MBD を作成するだけでは、導入効果を最大限に引き出すことはできません。単に従来の 2D 設計図面をMBD に置き換えるだけでは、投資対効果が限定的となり、大きな価値を実現する機会も逃してしまいます。
詳細で精度の高い情報が含まれるMBD は、設計部門だけでなく関係部門でも活用できます。MBD を最大限に活用するには、モデルベースのプロセスを製品開発・製造プロセス全体に取り入れることが重要です。
- 調達部門での活用
MBD およびテクニカルデータパッケージ (TDP:3Dモデル、2D図面、部品表、仕様書など設計情報をまとめたデータパッケージ) をサプライヤーと共有することで、見積依頼 (RFQ) に対してより正確な見積りを算出できるようになります。情報が明示されたMBD により、サプライヤーはコンポーネントやアセンブリに関する要件を正確に把握できるため、製造までの期間や価格の予測精度が大幅に向上します。 - 製造および品質部門での活用
MBD に組み込まれたセマンティック PMI (製品製造情報)は、CAM(コンピューター支援製造 ) およびCMM( 3 次元測定機 ) の次世代アプリケーションでも利用できます。これらのアプリケーションでセマンティック PMI を読み込むことで、より正確で標準化されたツールパスを自動的に生成できるため、作業時間とコストの大幅な削減につながります。 - 作業指示部門での活用
MBD は、作業指示のイラストやアニメーションを作成する必要がある部門にもメリットをもたらします。MBD を利用する場合、作業指示の作成者は 3D モデルと 2D 図面の両方を参照する必要がありません。単一のモデルを表示、操作、検証するだけで、必要な情報を得ることができます。その結果、より詳細かつ正確な作業指示を提供できます。
MBD(モデルベース定義 ) 社内展開時のポイント
MBD 活用に向けた取り組みにより新しいツールとプロセスが導入されると、技術面での大幅な刷新が必要になります。さらに、スムーズな社内展開も考慮しなければなりません。
特に、長年 2D 図面での作業に慣れてきた設計者にとって、MBD の導入は、日々の業務に混乱が生じる場合があります。後工程にも影響を与えることから、社内でこの変化にどう対応するかが重要です。そうした課題を解決したモデルベース定義 (MBD) 導入のポイントをご紹介します。
各部門における役割分担の明確化
メーカーには、それぞれ異なる利害関係を持つ多くの関係者が存在します。設計部長や責任者などを含む各部門長は、MBD 導入の過程でも開発プロジェクトの納期を厳守しなければなりません。
各部門の制約を理解したうえで、関係者がMBD 導入に伴う変化に柔軟に対応できるよう、明確な役割分担とサポート体制の整備が不可欠です。
MBD導入に必要なツールとサポート体制を整備
あらゆる変革において、その成否を分けるのはサポート体制です。MBDを導入する場合においても、適切なトレーニングや技術支援、テクニカルサポート、ナレッジ共有の仕組みなど、業務への影響を最小限に抑えつつ、新しいプロセスへスムーズに移行できるよう設計チームを包括的に支援する必要があります。
- サプライヤー向けのトレーニング
MBD での作業に慣れていないサプライヤーに対しては、十分なトレーニングとサポートを提供することが重要です。MBD へのスムーズな移行を実現することで、メーカーとサプライヤーの両方に多くのメリットが生じます。
MBD(モデルベース定義 ) 導入の成功事例
MBDの導入には、ハード、ソフト面の両方で課題がともないます。しかし、適切な計画と体制を整えることで、これらの課題を克服し、設計ドキュメント作成と製品開発プロセスの両方に多くのメリットをもたらすことができます。
新しいモデルを作成する際には、モデルベース定義 (MBD) オーサリングとモデルベースのプロセスをサポートするとともに、チームの役割分担と社内への展開状況を適切に管理することが重要です。この点に留意することで、開発スピードや競争力を維持しながら、MBD 活用のメリットを最大限に引き出すことができます。
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