製品事業部 CAD セグメント シニアアプリケーションスペシャリスト
超音波洗浄機、液晶製造装置等の機械設計を 2D & 3D 共に経験し1997 年に入社。機械設計分野以外に樹脂・板金金型、CAM の担当エンジニア。
機械設計における 3D CAD の活用は、既に 20 年以上の歴史があります。 2019 年 12 月のデータ(2020年度ものづくり白書(3DCADの普及率))では、60% 以上の企業で 3D データによる設計が行われています。 しかし、協力企業への設計指示方法は、54.3% が図面、23.8% が 2D データを利用しており、約 8 割が 2D による設計指示を継続しています。
このような状況で、従来は 2D CAD で設計を行っていた企業が 3D CAD を導入・活用する場合に、「過去の 2D CAD データを活用できないか」という質問が頻繁に寄せられます。3D CADデータの有効活用は、「ものづくりの DX」を推進する重要な要素です。その中でも、「3DA モデル(3D Annotated models = 3D 製品情報付加モデル)」は、データの一貫性を保つ上で不可欠となります。
本記事では、技術的な解決策として、 2D CAD データを 3D CAD で活用する方法を、Creo Parametric の基本パッケージに含まれる機能「AutobuildZ(読み:オートビルズ)」を使って解説します。 また、2D CAD に記載されている寸法や幾何公差を、3D CAD モデルのアノテーションへ変換する方法についても言及します。
記事の最後で Creo のお客様導入事例も紹介していますので、ご興味がございましたらぜひ最後までご覧ください。
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AutobuildZ は、2D CAD データを 3D CAD で利用する機能です。2D CAD データを 3D CAD に取り込み、2D CAD の線画を取り込んで 3D のモデルのスケッチへ直接利用して、形状を作成します。 Creo Parametric でこの「AutobuildZ」を利用する場合は、コンフィグ設定が必要です。
「AutobuildZ」のライセンスは基本パッケージに含まれており、Creo Parametric をご利用であれば、追加コストなしで利用可能です。
1. コンフィグオプション(autobuildz_enabled = yes)を設定する
2. Creo Parametric を再起動する(「1」のコンフィグを設定後に再起動が必要です)と ”AutobuildZ” タブが表示される
3. クリーンアップ:3D モデル形状作成時に不要なアノテーション類のフィルタを利用して自動選択し、個々に選択して削除する手間を低減
4. ビュー設定:2D 図面の各ビュー(正面図や上面図や側面図など)をそれぞれ定義
5. 部品設定:3D モデルの部品名を設定。3D 化作業に取り掛かるまでの準備はここまで。
6. 突起(回転):ソリッド形状を突起もしくは回転に使う 2D のスケッチを取り込み 3D 化。ソリッドを作った後であれば、カットも可能。
7. スケッチを配置する面と深さを、2D 図面上で選択。
8. その他:穴や基準平面作成などが可能。面取りやラウンドなどは通常のモデリング機能で作成
AutobuildZ では 2D 図面のスケッチをそのまま利用するため、以下のような形状や寸法で表現されている場合は、注意が必要です。
ただし、各ビュー全体で他のビューとズレがあっても、ビュー設定を適切に行えば、3D モデル作成時の問題は回避できます。
「レガシー移行」タブの 「アノテーションコンバータ」を使用して、2D 図面のアノテーションを 3D CAD モデルに変換できます。以下の要素が変換対象となります。
本記事では、Creo Parametric の AutobuildZ を活用した 2D CAD から 3D CAD への変換機能をご紹介しました。 2D CAD データを活用することで、3D 化の負担を軽減し、設計プロセスのスムーズな移行を実現できます。
以下に Creo を活用して設計業務を最適化した企業の導入事例を紹介しますので、こちらもぜひご覧ください。
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